こんにちは、中西です。
今回は苔寺や鈴虫寺近くにある「かぐや姫竹御殿」をご紹介します。
バス停の前に「かぐや姫竹御殿」という建物があります。
竹垣で囲まれた古い家のように見えます。
ここは、竹工の名人長野清助翁が27年の歳月をかけて一人で作ったものです。
竹の粉を固めた壁にモザイク貼り、網代貼り等、独創的な意匠のものが多くあり、修理するにもできる人がいなくて困っているということでした。
中に入ると客間があるのですが、この建物のほとんどは竹でできています。
手すりのぼこぼこした感じの竹は、珍しい「亀甲竹」です。
机には1センチ角の竹片がモザイク状に貼られています。
丸い枠内の昔の渡月橋も竹でできています。色の違いは竹の種類を変えて表現しています。
壁は3センチ角の竹をモザイク状に貼っていますが、土壁に貼り付けたのではなく、竹を挽いた粉を固めた竹壁です。
天井は「網代貼り」、網代編みではなく、網代模様に貼ってあり、他では見られないということです。
竹モザイクはあちこちに使われています。
ここでも色の変化を竹の種類を変えて表しています。
庭の奥にある「かぐや姫御殿」。
屋根に鳳凰がいるこの形はどこかで見たような覚えがありませんか?
金閣寺の消失をひどく悲しみ、金閣寺を模して茶室として造ったものだそうです。
もちろん「竹」で。
茶室の中には細い竹を切って放射状に敷き詰めた「傘張り天井」があります。
茶室ですから炉がありますが、周りは竹です。
戸は竹を編んだもの
蝶つがいも竹製です。
この建物を見て思い浮かんだ言葉は「神は細部に宿り給う」。
竹の粉で作った壁や天井に小さな竹片を貼りつけていくという気の遠くなるような作業を積み重ねた結果の集大成です。
軒も竹、ただ竹で作るというだけでなく、デザイン性もあります。
さて、天井の鳳凰ですが木を彫ったものではなく、鉄製でもなく、木を組み合わせたものです。
遠くから見ると鳳凰にしか見えません。うまい組み合わせに感心するばかりです。
さて、ここでどうして「かぐや姫」なのかをご説明します。
竹工名人と呼ばれた長野清助翁は、「竹取物語」に興味を持ち、独自に研究を重ね、没頭し、ついに自分で「かぐや姫御殿」を建てたのだそうです。
京都市内の竹細工の店を息子に譲り、月がきれいで名竹の産地として知られたこの地に移り住み、隠居生活を送りながら亡くなるまでコツコツ作っていったものです。
人に見せるために作ったものではありませんが、没後死後遺族の方が竹の文化遺産を守るためにと公開されるようになったとか。
公開するようになって40年くらい経っています。
初めての訪問者は、現在維持管理しているお孫さんか、その奥様が説明をしてくださいます。
訪問には予約が必要です。詳しくは下記をご覧ください。
http://kaguya.xii.jp/
名竹の産地といわれるだけあって、近くにはきれいな竹林がありました。
今回は竹尽くしのお屋敷をご紹介しましたが、いかがでしたか?
京都にはまだまだ知らないところがたくさんありますね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(中西)