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権太呂ブログ

竹の径と竹林公園

■毎週日曜更新 権太呂スタッフの「旬な京都便り」

2013.05.12

こんにちは、中西です。

竹林の小径といえば、嵯峨野を思い浮かべる方が多いと思いますが、
本日ご紹介するのは西ノ丘丘陵の竹林です。

洛西から乙訓(向日市、長岡京市、大山崎町)にかけては、京都の筍の産地です。
300年続く「京都式軟化栽培法」で生産される筍は、甘く柔らかく他に類を見ないと言われています。文字を見ているだけで柔らかく白い筍が思い浮かびますね。
その中でも一番美味しいといわれているのが塚原産の筍で、権太呂鍋に入っています。

日差しがさえぎられ、暗いため黄色く写っていますが、新緑の季節は「竹の秋」と呼ばれています。黄色いのは光の加減だけではありません。
黄色くなり落葉するのですが、すぐ下に新しい葉が育っているため気付かないまま入れ替わっています。
ちなみに「竹の春」は初秋の頃で、若竹が鮮やかな緑の葉を風になびかせます。

たけのこは親竹?

翌年以降の筍収穫のためにいい筍を残して育てます。それが親竹になります。

明るく風通しの良い竹林にするために間伐をします。
番傘をさして自由に歩き回れるくらいが目安と言われています。
敷き藁や土入れなどの手作業も1年を通して続き、手間暇かけて筍を育てていきます。
   

竹林ですが、色合いを少し変えて撮影すれば、こんなに南国風になります。
「なんか、どっか触ってしまった(カメラ)」結果です。面白いのでアップしました。

 
京都市洛西竹林公園

竹の産地洛西に京都市が理想の町として「洛西ニュータウン」を建設した際に、多くの竹が伐採されました。残る竹林を保存し、ニュータウンの記念事業として昭和56年に竹林公園が開園されました。

公園の高台から見える洛西ニュータウン。竹林公園を出るとすぐニュータウンです。

    

左が天然記念物のキンメイモウソウ(金明孟宗)と右がスホウチク
竹類は、竹、バンブー、笹の3つに分類されます。   
竹を英語でバンブーと言うのだと思っていましたが、右の写真のように地下茎で伸びるのではなく、株で育つのがバンブーです。熱帯地方原産。
皮が生育後落ちるのが「竹」で主に中国原産の帰化植物、皮が落ちないのが「笹」で、こちらは日本産のものが多くあります。

キッコウチク(亀甲竹)
さおの枝下部分の節間が交互に膨れており節が斜めとなった竹です。京都特産。
テレビドラマの「水戸黄門」で水戸光圀が持っていた杖はキッコウチクだそうです。

資料館からの眺望
散策できる和風庭園で、京都市の歴史的資料も展示しています。

百々橋(ドドバシ)
応仁の乱(1467~1477)の発端となった橋。
京都市百々町と宝鏡院東町との間に架けられていました。

旧二条城遺跡の石仏群
織田信長が室町幕府最後の将軍足利義昭のために築いた旧二条城の石垣に使ったもの。
信長は多数の石仏を倒し頸に縄をつけて工事場に引かせ、これらの石仏を畏敬していた都の人々が驚嘆と恐怖に陥ったということが、ポルトガル宣教師の著書に記されているそうです。石仏の他に墓石らしきものもありますが、信長の人となりがうかがえる話の一つです。

山もみじ。若葉と木漏れ日がとてもきれいでした。

大開花周期試験
笹は40~60年、竹は60~120年周期で開花し、一斉に枯れると言われています。
記録を石碑に刻み込み、将来の研究に役立つように保存しています。

地下茎で育つ竹はクローンを作って増えていくので、竹林全体が同一個体となります。
病気になると竹薮全体が枯れ死するため、別の遺伝子を取り入れるために開花するのだという説や地下茎の寿命に合わせて開花して更新するという説もありますが、よくわかっていません。

生態園遊歩道 竹の小道


    

生態園には約110種の竹類が植えられています。森林浴ならぬ竹林浴ですね。

京都市内にある竹林公園を出て、東向日駅(向日市)へ向かうと「古墳めぐり」の文字が見えます。向日市には、前方後円古墳がいつくかあります。

竹の径の途中にある「寺戸大塚古墳」

年季の入った作業小屋
屋根に竹を使用し、建物も竹組に土壁を塗ったもの。
このまま時代劇のセットに使えそうですね。

竹の径
「全国遊歩百選」「歩きたくなる道500選」に認定
「京都府景観資産」「京都府文化的景観」に選定

近年は竹害が取りざたされています。
成長が速いため他の植生を破壊し森林を消滅させる、土砂崩れを起こす、竹の葉が地表を覆うため雨水が流れて地中に入らないなど。
近くに工場があるサントリーは森や水を守るため、竹林の整備に力を入れています。
また地域ごとにボランティアグループがあり、権太呂調理スタッフのお父様も参加しておられます。竹林整備の時に採った筍を頂いたのが、今回の取材のきっかけです。

さて、この日のルートですが、阪急河原町から洛西口で降り、バスで5分。
そこからは徒歩で竹林公園→東向日駅→河原町駅。所要時間は2時間20分でした。
ゆったりと竹林を歩いてみたい方、「竹」や信長の石仏群に興味のある方は訪ねてみてください。

長い紹介になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。 中西