こんにちは、中西です。
秋の花「萩」を撮りに行くつもりで上賀茂神社に行ったのですが、
上賀茂の「社家町」をまだご紹介していなかったので、今回はこちらをご紹介します。
上賀茂神社(賀茂別雷神社 )
古代より信仰を集めてきたといわれる京都でも最も古い神社のひとつで、世界文化遺産に認定されています。
社家町を紹介するのに、ここは外せません。
立砂と細殿
立砂は、清めの塩の起源と言われています。
社家とは代々神職をしてきた家のことで、神社の近くに家を構えることが多く、社家の家が集まった所は「社家町」と呼ばれました。
室町時代から形成され、江戸時代には275軒あったといわれています。
現在は20数軒が残っています。北大路魯山人も社家の生まれです。
錦部(にしごおり)家の旧宅(現在は西村家別邸)
現存する社家の中では最も昔の面影をとどめる庭園が残っています。
ここだけ一般公開しています。
まずベルを押しますが、インターホンではないので応答はありません。
こちらからは音も聞こえません。とりあえず押したので、進みます。
きれいに掃き清められた前庭
庭園の様子
左の石組は、禊の井戸跡(今は涸れています。)
朝のお勤めに入る前にこの井戸で体を浄めたといわれています。
表を流れる明神川の水を取り入れ、曲水の宴のために庭園を流し、水はもとの明神川に戻ります。
不浄の井戸。汚れた水は川に流さないようこちらに入れます。
裏庭の池
大きな鯉がゆったりと泳いでいました。
秋が深まると池にかかる紅葉が映えると思います。
石垣の下に取り込み口があり、水は各家庭に取り込まれています。
上賀茂神社の本殿より高くなってはいけないと、どの家も低く建てられています。
道路の反対側の住宅(邸宅の方がふさわしい)も含め、この辺り一体が社家町だそうです。
この建物は現在「京都産業大学同窓会館」として使われています。
伝統的建造物群保存地域に指定されていますが、「社家町」としては全国でここだけです。
ちょっと歩いてみたくなる道です。
藤木社(ふじのきのやしろ)。
上賀茂神社の末社で、明神川の守護神として社家の信仰を受けています。
大クスノキは、樹齢約500年、室町時代の社家町が立ち並んだ頃からこの地を守っています。
さて、ここからが「萩」です。
上賀茂神社に何か所かに萩が咲いていました。
境内を流れる「ならの小川」は、ここを出ると「明神川」と名を変え、社家町を流れます。
京都で「萩」といえば、梨木(なしのき)神社が有名ですが、
ここも常林寺も見ごたえがあります。
若い頃の勝海舟が海軍伝習生として長崎や神戸に赴く時この常林寺を京都での常宿にしてたと言われています。子母沢寛の長編小説「勝海舟」にも常林寺が登場するそうです。
境内が萩で埋め尽くされています。
まさしく「萩の寺」です。
最後は我が家に咲く彼岸花です。
秋の花のつもりが「上賀茂社家町」(正式な町名ではありません)のご紹介になりました。
古くから信仰を集めた上賀茂神社の神職たちが守り続けた町並み、一度歩いてみてはいかがでしょうか。(中西)