こんにちは、梅田です。
本日の『旬な京都便り』は先日8月16日に行われた「五山の送り火」を
お届けします。
今年の五山の送り火は当日までに様々な事があり、正直スタッフの間でも
今年の送り火をお伝えしてよいものかどうかの議論がありました。
京都に生まれ、育ち、京都が好きな私にとって、今回のここまでの流れはとてもつらいもので、
陸前高田の松を送り火に使うと決まったいきさつや、松の「使用」「中止」が二転三転した経緯、
それになにより東北の方々のお気持ちを考えると、とてもではありませんがブログで
取り上げる気持ちにはなれませんでした。
しかしながら、「五山の送り火」は平安時代(江戸時代とも)から続く、日本人の心に根ざした
行事で、単なるイベントとは違い、何百年にもわたってたくさんの人々の思いが込められ、
多くの方々のたゆまぬ努力があり、現在に至っています。
そして残念なことはあったものの、やはりこの伝統行事をお伝えするのが大切なことではないかと
思い、今年の「五山の送り火」をお届けすることに致しました。
3.11以降、遠く離れた京都で暮らしていても、東北の方々のことを気に掛けなかったことは
一日たりともありませんでした。震災後半年近くたっても今なお続く不自由な暮らし、健康面の不安、
将来への不透明感。東北の方々の環境は一向に改善する気配がありません。
そのような暮らしが一日も早く改善するよう、そして震災で亡くなられた方々にとっては初盆、
どうか安らかに眠って頂きたいとの思いを込めて、今年の「五山の送り火」をお伝え致します。
送り火当日の金閣寺門前です。左大文字で燃やす護摩木や松明の受付が行われています。
外国の方も想いを護摩木に託されていました。
そして、8月16日の夜を迎えます。
こちらは東山にある「右大文字」で、場所は京都御所です。普段は広いと感じる京都御所がこの時ばかりは
人で埋め尽くされ、みんなが大文字の灯がともる様子を固唾をのんで見守っていました。
大文字のそばには月明かり。ご覧になっている方々の神妙な想いが表現されているようでした。
ちなみにこちらは別のスタッフが撮影した「右大文字」。宝が池という京都御所からは北に位置する場所からの
大文字です。同じ「大」の字でも随分と違って見えるものですね。
上の写真は昼間に取材をした「左大文字」。西大路通という通りから「左大文字」を正面に見ることができるため、
信号が青になるたび(本当は危ないのですが…)、横断歩道は人の列となります。
先程の宝が池から撮影した「妙」
そして「法」。「妙法」とは、最もすぐれた正しい教えという意味で、仏の教えという意味です。
お経で唱える「南無妙法蓮華経」にも「妙法」の字を見ることができます。
そして、宝が池から見た京都市の北西に位置する「舟形」。京都市内は高い建物が多くなり、五山全てを
見ることができないとされていますが、この宝が池からは五山中、4つの山を見ることができるんですね。
毎年の行事ながら、当日までのいきさつもあり、特に忘れられない灯りとなりました。
(梅田)