こんにちは!梅田です。今回の『旬な京都便り』は先日ご案内した「北野天満宮」で毎月25日に行われる
「天神さん」という縁日と並んで、毎月21日に行われる東寺の縁日「弘法さん」をご案内します。
「弘法さん」の名前は当時に祀られている空海(弘法大師)から来ています。
もともと”縁日”とは神仏がこの世と”縁”を持つ”日”というところからきており、この日に参拝すると、
大きな御利益がある日なのだそうです。
公式HPによると、出店の数は1200~300、お客さんは20万人にも上るということですから、
その規模の大きさたるや、”メガ級”と言えますね。
日本一高い木造建築、東寺の五重塔が弘法さんでのランドマークになっています。
ちなみにその高さは55m。近くまで行くと、見上げないといけないくらいの高さです。
公称”20万人”というだけあり、境内は人で埋め尽くされています。
規模や日にちなどが近いため、なにかとライバル視されるのが北野天満宮の縁日”天神さん”です。
『弘法さんが雨なら天神さんは晴れ』
と言われるくらいで、京都の人達の間でも、あいさつ代わりに上のようなことを話題にしたりします。
まさに”両雄並び立つ”といったところですが、こういう時って案外当事者同士は気にしていないことが
多いですが、この場合ははてさて…!?
毎月たくさんのお客さんがやってくる弘法さんは、魅力たっぷりの店、個性的な店がたくさんあり、
その人気の高さが伺えます。普通のつけもん屋さんや、七味屋さんにずら~っと行列ができていたりして、
私のような「いちげんさん」が見ると、余りの意外さにちょっと驚きます。
梅干し屋さんは京都南部の青谷から。
切り絵の店や
「笛屋」さんなど、ちょっと芸術家肌な店があるかと思えば、
”亀の甲羅”を売ってたり、
2月21日なのに「鬼」が飾ってあったり、
象や、
懐かしの看板、
なんと自転車まで!
値ごろ感が分からないものはお店側の”言い値”で、
「えっと、それは、、2千円、、やったかな」
なんていう”即興”で値段が決められたりしてました。
そうかと思えば、
「物の値打ちを知らんお客さんは、『高い高い』言いはる、そやけどホンマに見る目がある人が見たらな…」
という口上で商いをされている店もあり、モノを買う当事者であっても、傍観者(ひやかし)であっても、
十分に楽しめます。
縁日が立ち並ぶ境内のとなりに、「御影堂(みえいどう)」という建物があります。ちなみに国宝です。
この御影堂の立て札には日本を代表する作家、司馬遼太郎さんのこんな言葉が紹介されています。
私は毎年、訪ねてくるひとに京都のどこかの寺を、そのときの思いのままに案内するのだが、
約束の時に「東寺の御影堂の前で待ちましょう」ということにしている。京の寺々を歩くには、
やはり平安京の最古の遺構であるこの境内を出発点とするのがふさわしく、
また京都御所などよりもはるかに古い形式の住宅建築である御影堂を見、その前に立ち、
しかるのにち他の場所に移ってゆくのが、なんとなく京都への礼儀のような気がして、
そうゆうぐあいに自分をなじませてしまっている。弘法大師(空海)に対する私の中の何事かも、
こうゆう御影堂へのなじみと無縁でないかもしれない。
思わず吹き出してしまいそうな店の人とお客さんのやり取りがあるかと思えば、その一方で
日本を代表する作家さんがその思いを筆にしている。東寺のもつ、懐の深さを感じるには
毎月21日の「弘法さん」がうってつけではないでしょうか。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。 (梅田)