こんにちは、中西です。
今日は京都市北区にある「深泥池」をご紹介します。
「みどろがいけ、みぞろがいけ」と読みます。地名は「みどろがいけ」、池単体では「みぞろがいけ」と読むようですが、どちらの読み方も使われています。
三方を山に囲まれていますが、西側には旧鞍馬街道があり、道路横には住宅が立ち並んでいます。
そんな住宅地近くにありながら「天然記念物」に指定されています。
氷河期からの生き残りの植物と温暖地に生息する植物が共存する学術的に貴重な場所なのだそうです。
私が行った時はきれいなイトトンボを見かけましたが、ここには約60種類のトンボ(日本にいるトンボは約200種)が生息し、水中に生息するミズグモが日本で初めて発見された場所でもあります。
それで「深泥池生物群集」、池に生息しているもの全てが天然記念物なのです。
手前の水草は、北大路魯山人がここのものは特別と絶賛したジュンサイです。
周囲約1.5メートルの池ですが、雨水と地下水で環境の変化が少なかったため氷河期からの生物が生き残れたのだろうといわれています。
植物の遺骸(いがい)が積み重なって泥炭化し、水面に浮いている「浮島」があります。
冬には冠水することから、多様な生物が浮島を中心に生息しています。
冠水しない部分には木も生えていますから遠目には陸地にしか見えません。
池の底に積み重なった泥は約20メートル、はまり込んだら抜け出せないことから「底なし沼」説があります。
底はあっても20メートルは深いですね。
昔から幽霊話が絶えず、京都屈指の心霊スポットとして有名です。
全国にある「タクシーと幽霊」話もここから始まったといわれています。
私が乗ったタクシーの運転手さんは、「このあたりですよ」と場所まで教えてくれました。
深泥池から北へ1キロ、比叡山の借景で有名な「圓通寺」があります。
長く続く塀の内側です。
圓通寺は、後水尾天皇の山荘、幡枝離宮跡に尼寺として建てられたものです。
後水尾天皇が、比叡山が一番きれいに見える場所を探し求めてこの地に別荘を作りました。
今見えているこの景色は、年月を経て杉木立や周りの木の様子も変わっているはずですが、それでも霊峰比叡山は美しく映えています。
「京都市眺望景観創生条例」
特定の視点場から特定の視対象を眺めるときに視界に入る建築物について定められたものです。世界遺産38か所などを視点場としていますが、圓通寺庭園から見る比叡山の眺望も対象とされ、保護されています。
駐車場近くのタイサンボク(泰山木)の花からは甘い香りが漂っていました。
さて、今回ご紹介した深泥池へは市バスで行くことができます。
また地下鉄北山駅から徒歩10分。そこから圓通寺へは徒歩15~20分。
圓通寺庭園から見える景色は、季節、天候、時間帯によって見え方が変わります。
「一期一会」は、人との出会いやおもてなしについてを表していますが、一生に一度の「出合い」の相手は人には限りません。
お時間に余裕のある方は一度お訪ねください。
本日は最後までお読みいただきありがとうございました。(中西)