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京都の涼を求めて

■毎週日曜更新 権太呂スタッフの「旬な京都便り」

2017.05.28

川端康成の小説「古都」には、

夏の京都は燃え上がる炎のような空だという表現があります。

本当に、盆地の京都は燃える暑さで、「油照」とも形容されるほど。

ところで、川に京と書いて「涼」と読みます。暑さあるところにこそ涼しさあり。

今回は、「貴船」についてお話させていただきます。

 

鴨川の源流をなす貴船川は、ホタルや鮎などが棲む深山幽谷の清らかな渓流。

夏ともなれば、料理旅館のしつらえた納涼川床がお目見えします。

言わずと知れた貴船の夏の風物詩です。京の奥座敷と呼ばれる貴船には、

古くから涼を求めて多くの人々が訪れました。

まるごと自然に囲まれた川の上のダイニングは風情にあふれ、

足元を流れる渓流の響きが爽やかな涼感を誘います。

 

河畔に建つ貴船神社は1600年以上の歴史を持つと言われる水の神様で、

縁結びの御利益でも昔から知られています。「和泉式部日記」の著者であり、

数々の恋愛遍歴を重ねた女流歌人の和泉式部。彼女も、この神社に救いを求めた

女性の一人でした。夫の心変わりを知った和泉式部が貴船神社にお参りすると、

やがて願いかなって夫婦円満に戻ったと言われています。

 

樹木の生い茂る神社の境内はまた、

夏の日差しを和らげてくれる格好の避暑地でもあります。

貴船に行く機会ががあれば是非立ち寄ってみてください。

                                調理部・小田